注文住宅にすると決めたわけではないのですが、中古・建売・注文住宅を比べて検討する意味でローコストの注文住宅で有名な「タマホーム」の住宅展示場に行ってきました。結局、いくら位で家が建つのでしょうか?そして何故ローコストが可能なのでしょうか?
ハウスメーカーの坪単価の例(*タマホーム資料)
注文住宅の総費用の例
ハウスメーカーを比べて一番気になるのは坪単価の違いです。でも実はこの費用だけでは家は建ちません。様々な諸費用が乗ってきますし、坪単価の算出方法もメーカーによって異なります。そこでタマホームの場合の総費用をざっくりと聞いてみました。
合計3,280万円!(土地代を含む。多分税抜)
内訳
・建物本体(100平米、「大安心の家」シリーズ) 1,500万円
・土地(100平米、価格は適当) 1,500万円
・外構工事(フェンスや駐車場等) 100万円
・登記 75万円
・火災保険 25万円
・ローン経費 80万円
思ったより諸費用が少なかったですが、土地改良が必要な場合はケースバイケースですが別途100万円とかかかるそうです。諸費用は一般に建物本体の20~30%と聞いたこともあるので1,500万円の本体の場合は300~450万円かかる可能性もあります。まあ何をどこまでやるかに大きく依存するのでしょう。その場合は建物と諸費用で1,950万円となりますが、これでも他のメーカーより全然安いとは驚きです・・!
立て看板にあった建物本体価格の例(*「木麗な家」は「大安心」の下のグレード)
タマホームが安い理由
安いのはいい事ですが、その理由が気になります。以下のような答えでした。
・利益率が他のハウスメーカーと比べて低い
・木材のプレカットや大量注文、規格化で仕入れ価格を抑えている
・下請けの管理を効率化して中間コストをカットしている
積水などの他の大手と比べると半額程度との説明でした。それでも建物の原価(材料費、工賃など)は50%程度とのこと。これでも利益率が低い方なのだろうか・・?
一般に大手のハウスメーカーは宣伝広告費や住宅展示場などのコストが乗ることで地元の中小工務店と比べ2-3割高いと言われていますが、このコストに関してはタマホームでも同様だと考えられます(なお、実際作るのはどちらにせよ地元の工務店)。またメインの「大安心の家」はある程度は自由設計らしいので、規格化のメリットがあるにせよ乏しいのではないかと思えました。
より規格化されている安価な「シフクノいえ」シリーズもあるようですが、利益が少ないためか話に出てきませんでしたしパンプもくれませんでした。ということは購入者としては逆に狙い目なのかも知れません。
結果、なぜ半額にまで安くできるのかに関しては個人的にはイマイチ納得できませんでした。スケールメリットで仕入れ価格を抑えたり中間コストをカットするなんて大手ならどこもやっているのではないかと思えたからです。しかもメインの「大安心の家」は自由設計を謳っているので規格化のコストカットは難しそうな気が・・。
それでも強みである安さを出すために他社よりも安価な素材を使ったりパーツを減らしたりしているということなのか、もしくはタマホームが基本的に木造なのに対し他の大手は割高な軽量鉄骨が多いためなのか、またはスケールメリットがない創業当時から既に価格競争力があった事を踏まえると業界の談合に参加しないなど何かシステム的な違いがあるということなのかも知れません(*全て個人的な考えで根拠なし)。
少なくとも他の大手ハウスメーカーに嫌われているのは間違いないらしく、関西では未だに住宅展示場に参加させてもらえないそうです。
大手ハウスメーカーの販売戸数推移の例(*タマホーム資料)
安かろう悪かろう?
「大安心の家」シリーズの標準仕様で長期優良住宅(耐震・省エネ・劣化対策・維持管理対策)に適合しているそうです。また最近の流行りなのか、全般を通じて安いことだけを売りにしているのではなく、住宅性能にこだわった仕様であることを強くプッシュされました。
結果、ローコストだからといって安かろう悪かろうであるという印象は全く持ちませんでした。「もし注文住宅を作るならタマホームでも全然良さそう」というのが率直な感想です(他を見たことがないので印象だけですが)。
その他のこぼれ話
タマホームは実は多摩の会社じゃない
タマの由来は社長の名前で、20年ほど前に九州で創業し、現在では全国展開して注文住宅トップの積水ハウスを脅かすほどの存在に迄成長しているそうです。価格競争力があるためでしょうが、大手なのに歴史が浅くて驚きました。60年保証などもあるといことですが、実際にそれだけもった家はまだ1軒もないということを意味します。
ちなみに建売を入れると「飯田グループホールディングス」がダントツのトップ、住宅性能を売りにしている「一条工務店」も成長が著しいです。とは言えこの様な大手のハウスメーカーのシェアは全体の30%ほどで、残りの70%程度は地元の中小工務店とのこと。
また、積水や大和などのトップメーカーの一部は住宅着工件数の減少を見据えて注文住宅から賃貸経営にシフトしています。実際に持ち家はバブル期の1/3程度まで着工件数が減っています。
土地探しもやってくれる、自分でやるのは危険
宅建士がいるので一般の人は見れない「レインズ」から土地を探してくれるとのこと。リスクが高いので個人で土地を探すのはオススメできないとのこと。「ガス管が来ていなくて何百万も工事費用が追加で必要な土地を買ってきた人が居た」とのことでした。当然仲介手数料(3.3%+6.6万円)が発生するので無料サービスではありません。
ウッドショックの影響
コロナバブルで輸入木材価格が高騰し、現状ではアメリカから木材が入ってこない状態らしいです。ハウスメーカーによっては工事がストップしているとのこと。結果、タマホームが使っている日本の木材も高騰する訳ですが、「1年分くらいまとめて仕入れてあるので今がチャンス!」とのことでした。まあ、バブルはいずれ終わるのでこの辺は多分に営業トークであるように思えました。
建売&地元の工務店はダメ!
「建売や工務店は安く作るので質が悪い」とのこと。(他のハウスメーカーに聞いたらタマホームがこう言われてそう・・)まあこの手の話は利害関係者ではない第三者に聞かないと本当の所はわからない様に思えます。
逆に工務店の側の立場で考えたら安く買い叩かれるハウスメーカーの注文より利益率を確保できる直接注文の方に力を入れる気もします。どうせ地元の工務店が施工することを踏まえればハウスメーカーこそが無駄な中間コストという見方すら出来そうなものです。とは言え中小企業(地元の工務店)にするとなると設計力や仕入力などに大きなバラツキがありそうなのでどの工務店を選ぶのかが大問題になります。
その意味では仕入力と企画力だけはスケールメリットを活かせるようなフランチャイズ方式の工務店でもいいのかも知れません。例えばアイフルホームならLIXILの傘下なのでLIXIL製品なら最安で仕入れられるものと考えられます。でも下請けとフランチャイズ方式って利益率にそんなに違いがあるんだろうか・・?
あくまで目安としてですが、小規模工務店が注文住宅を建てた場合の粗利益率は約25%、大手ハウスメーカーは40〜50%、フランチャイズ方式だと35%前後と言われているそうです。単純計算でロイヤリティは10%程度(粗利益の約30%)なのかも知れません。なお、セブンイレブンは56~76%なので随分良心的なのかも・・?いやこれはセブンがヤバイ!!!
https://myhomeplanner.jp/franchise/, https://plus-mp.com/index.php?%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AE%E5%B7%A5%E4%BA%8B%E8%B2%BB%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E6%B1%BA%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B, https://trip-melonpapa.com/business/convenience+store
在宅ワーク拡大の影響
具体的な数字が知りたかったのですが、「かなり郊外需要が増えている印象で、顧客で都心のタワマンから葉山(御用邸のある田舎)に移った人もいた」ということでした。
一方でコロナ後も在宅ワークを続ける企業は1割しかないという話もあるので、郊外で住宅を探すなら来年以降の方がいいのかも知れません。
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