賃貸と持ち家の優劣、法人化による節税、そしてリスクを背負って生きるということ

1995年に出版業界から独立し、金融ネタの小説家になった橘玲さんの30万部のベストセラー「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 (2014)」を読みました。元々2002年に出版された本の改訂版ですが、投資や不動産などのお金にまつわる知恵がわかりやすく紹介されていて興味深い本でした。

個人的に気になったところを抜粋します。

 

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 投資の公式 

 株式 

・理論株価=1株利益(EPS; Earning Per Share)÷期待利回り

・株式投資の期待利回り=無リスク金利+リスクプレミア(リスクを取ることに対する報酬)

・PER(Price Earning Ratio)=株価÷1株利益(=最初の投資を何年で回収できるか)

 

 不動産 

・不動産の理論価格=年間賃料÷期待収益率

・不動産の期待利回り=無リスク金利+リスクプレミア(リストラ、自己破産、引っ越し困難)

 

 市場経済では賃貸と持ち家に優劣はない 

市場経済においては、確実に手に入れることのできる利益(超過リターン)は、目端の利いた市場参加者によってすぐに発見され、消費されてしまいます。これを裁定取引(アービトラージ)といい、その結果、すべての価格は誰も確実には得をしないところに落ち着きます。これが、抗うことのできない市場の基本原理です。そう考えれば、そもそも持ち家と賃貸の優劣を考えること自体が無駄とも言えます。ローン完済後に手にする不動産はリスクプレミアですが、30年も先の不動産にはたしてそれだけの価値があるのか、一体誰にわかるのでしょうか?

 

不動産は、保有しているだけでコスト(固定資産税)がかかる特殊な資産です。購入時には、不動産業者に支払う手数料(3%)のほか、不動産取得税や登録免許税、登記費用などもかかります。地価の大幅な上昇を前提としなければ、不動産投資は、もともと割に合わないものなのです。

 

 法人化による合法的な節税 

個人が法人を利用して合法的に税コストを下げるには、4つの基本的なルールがあります。

1)所得税の発生しない範囲で給与を決定する(専業主婦+子供2人で約500万円)

2)所得税の発生しない範囲で家族を雇用する(103万円)

3)生活費を法人の経費に振替える(慣例として水道光熱費や住居費の半分まで、その他経費で合計200万円程度か)

4)個人資産を法人名義で運用する(赤字法人に無利子で貸し付けて運用すれば非課税)

 

所得税が発生しない500万円の内訳

 

法人経費への振替

 

また、法人であれば事業者として自治体の事業者向けの様々な低金利(例えば0.4%の)融資制度が利用できます。一旦融資を受けたら毎月必ず期日までに返済し、信用を付けることで更に多額の借り入れが可能になります(例えば日本政策金融公庫の「新事業活動促進資金」など)。

 

 税務署と税理士の関係 

日本では、23年以上税務署に努めた職員に無試験で税理士資格が与えられます。この税務署OBが地元で税理士として開業することで税務署と税理士の関係はいびつなものになります。OB税理士は税理士全体の半数に及びます。

国税から企業の顧問税理士への天下り構造がある以上、華やかな脱税の摘発はOBの再就職を助け、彼らに高額の報酬をもたらすだけです。右手で相手を殴りつけておいて、左手で金をせびるのでは、やっていることはゆすり・たかりと一緒です。

 

 新宿中央公園のホームレス 

パークハイアットの贅を尽くしたレストランの席に座ると、私は、この薄暗い公園に目を向けずにはいられません。なぜならそこには、薄汚れたダンボールハウスに住み、残飯を漁る私がいるからです。

あなたには、この恐怖の肌触りがわかるでしょうか?

もしそうなら、あなたもまた、リスクを背負って生きることの意味を知っているはずです。

 

 Tochiの勝手な感想 

「市場経済なのだから賃貸と持ち家の優位性には差がない」という理屈はなるほどもっともですが、株などと異なり不動産は極めて流動性が低いため非合理な価格が生じやすく、この市場のゆがみを狙うことが出来れば不動産で利益を上げることは可能なはずです。ただそれは即ち、素人は割高に掴まされて損をする可能性が高い(例えば新築など)ということでもあり、その意味では賃貸派に転じたことはあながち間違った決断ではなかったのかも知れません。

持ち家が賃貸より総費用が安いとは言い切れない件。賃貸派に転身!

 

サラリーマンは100%が黒字として税金を天引きされていますが、法人は黒字だと税務調査に入られやすいこともあり、7割もが(グレーな手法を交えつつも)赤字、即ち非課税にしているとのことです。節税が困難なサラリーマンからするとこの様な節税は余りに不公平に思えます。とは言え、だったら自分も法人化すればいいので、そういった選択肢を得る意味でも仕組みを知ることが大事なんだと思いました。

 

早期リタイアは高リスクです。リタイア前は恐怖の肌触りどころの話ではなく、それこそ恐怖の海底にどっぷりと沈んでいました。実際にリタイアして思うのは、何にせよリスクのない生き方なんて無いんじゃないかということです。

でもまあ、リスクなんて大げさに言ってはみても、最高でもせいぜい死ぬくらい。そんなの誰でもいつかは通る道です。何とかなるさケセラセラ♪ 💀

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