Youtubeで岡田斗司夫さんが紹介していた「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記(2019) ジョン エルダー ロビソン著」を読んでみました。
TMS(反復経頭蓋磁気刺激)で、共感に必要とされるミラーニューロンがあるブローカ野の一部を刺激したことで、自閉症の著者が他者の気持ちに気が付く様になり、社会生活も以前より上手に出来るようになり、その代わりに感情の荒波に晒されるようになったという実話です。
まるでSFの様な衝撃的な話ですが、今後この研究が進めば、体と同じ様に脳の様々な問題を刺激により治療したり、一歩進んで記憶力を高めるなどの能力向上への応用という可能性を感じさせられる興味深い内容でした。
例によって個人的に気になった部分をまとめます。
他者の感情がわかることによる弊害
複数の精神科医から、自閉症のおかげで、周りで起きていることに気がつかずに済み、私は最悪な家庭環境から守られたのだと言われた。感情に対する洞察力が高まった今、私は私を守ってくれる楯を失い、打ちのめされることが時折あった。人の心を覗けば、優しさや愛情が見えるという幻想を抱いていた。それらも幾分かはあっただろうが、それ以上に恐怖や嫉妬、怒り、私に思いつけるありとあらゆる悪感情があった。確かに善良な感情もあるにはあったが、それらはごくわずかだった。
TMS によって能力は高められるまで、憂鬱な気分になることが多いのは、他の人の前向きな感情を汲み取れていないせいだと思っていた。ここに来て本当のことを知った。あたり一面に漂っている感情のほとんどは、前向きなものではないのだ。真の感情的洞察力をもって群衆を観察すれば、強い欲望や貪欲さ、激しい怒り、不安、それに適切な言葉がないので私が”緊張”と呼ぶものが見えるだろう。愛情や幸福感はごくたまに、チラリと見えるだけだ。
TMS がどのような作用を及ぼしていたかを考えると、不思議な気がする。 TMS 受ける前は、度々不安に襲われていて、それは自分が自閉症だから、他の人の気持ちや意図になかなか気づけないからだと考えていた。しかし人の心がもっとはっきりと読めるようになったからといって、私の辛い状況改善されたわけではなかった。なぜなら、私が人に見る最も強い感情のひとつは、その人が持つ不安だったからだ。
Tochiの勝手な感想
歴史上の偉人、
例えばダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ベートーヴェン、ニュートン、モーツァルト、アインシュタイン、最近ではイーロン・マスクなどは自閉症など、なんらかの障害を抱えていたのではないかと言われている。
他の人と病的なまでに違ったからこそ、他の人ではなし得なかった偉業を成すことが出来たというのは興味深いことだし、納得がいく点でもある。
日本ももっと多様性を尊重できる社会になればいいのに。
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