2024年初頭に65歳という若さで癌でなくなった経済評論家、[PR] 山崎元著「経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて(2024)」を読みました。
昔、同氏の「ほったらかし投資術」を読んだことがあり、主張が極めてシンプルでわかりやすいので、もうこれ以上は読む必要が無さそうだと考えていたのですが、たまたま見かけたnote記事「経済評論家の父が息子に伝えた、お金の稼ぎ方・増やし方とは?」を読んで、「死を前にして、息子に一体何を伝えたいものなんだろう?」と興味を持ったのが本書を手に取ったきっかけです。
例によって気になったところを抜粋します。
運用の三大原則は「長期」「分散」「低コスト」
お金の運用は、「長期(投資)」「分散(投資)」「低コスト(=安い手数料)」の3つを守ることでうまくいく。何かしようとする前に、「長期、分散、低コスト」、「長期、分散、低コスト」・・・・と何篇か唱えて、自分の行動はそれに合致するかどうかをチェックするといい。
リスクを取りたくない労働者が安い賃金で我慢する
2万円の生産に貢献して1万円しかもらえない労働者が、不満で不本意なのかというと、そうでもない。彼(彼女)は、たとえ1日に1万円でも安定した雇用と安定した賃金を求めているからだ。
安定(=リスクを取らないこと)と引き換えに、そこそこの賃金で満足する。合意の上の契約だ。彼らこそが、世界の養分であり経済の利益の源なのだ。
世の中は、リスクを取りたくない人が、リスクを取ってもいいと思う人に利益を提供するようにできている。
幸福の決定要素は実は1つだけ
大抵の人間は幸せでありたいと願う。では幸せを感じる「要素」、あるいは「尺度」は何か。多くの先人がこの問題を考えている。
父はこの問題に暫定的な結論を得た。人の幸福度はほとんど100%が「自分が承認されているという感覚」(「自己承認感」としておこう)でできている。そのように思う。
現実には、例えば衣食住のコストをゼロにするわけにはいかないから「豊かさ・お金」が少々必要かもしれないが、要素としては粗末だ。また健康は別格かもしれないが、除外する。
また、モテない男は幸せそうに見えない。
Tochiの勝手な感想
前半のお金の稼ぎ方で、大学に合格した息子に「これからは起業するか、ベンチャーなどでストックオプションを手に入れられるようなキャリアを築け!」というのは余りにもハイリスクだし、殆どの人がトライした所で失敗するだけであろう内容だっただけに驚いた。投資ではド安牌なオルカン推しなのにキャリアでは起業すべしとは何て両極端なんだろうか!
ただ良く考えてみれば、東大卒で一流企業を渡り歩いてきたエリートお父ちゃんから、同じく東大への入学を決めた秀才息子への言葉なのだとすればこれも納得ができる。この本はタイトルの通り、あくまで「秀才父から秀才息子へのラブレター」であって、一般人向けな訳ではないということなのだろう。
(それにしてもこうも住む世界が違うもんなんだナァ・・)
にも関わらず、幸せは「承認欲求だ」とか、「モテだ」とか、そこだけはエラく平凡と言うか動物的で、だからこそヤンキーなことばかり言ってるしヤッているのに何故か共感されるんだろうなぁ。こんなお父ちゃんカッコいい(けど何かズルい)なぁ、などと。
コメント
確かに承認されるとうれしいし私も承認を欲してしまうことは同意する、しかし危険な思想かと思う。
承認されること=好かれるとなりやすい。
そうなるとそれは立派なことなのか?お笑い芸人は一番立派なのかということになる。
むしろ大変な仕事されている人は嫌われてたりする。偉人であっても嫌われてたりすることも多い。
嫌われることを恐れ他人の顔色をうかがって生きる人を生み出してしまわないかという恐れがある。
きじんさんこんばんは!
ヒトは社会的な動物なので、承認欲求が幸せにつながるのというのは極めて一般的なことなんだろうなー、と思う反面、ご指摘の通り、自分の幸せを相手に(しかも社会ではたまたま出会っただけの他人に)依存するというのは何とも運任せで危なっかしい気がしますね。
恐らく、山崎さんの場合は(モテたし)性格的にもそれが向いていて、実際に十分な承認を得られたと感じたからこそこれがそのまま正解になっただっただけではないかと邪推します。
価値観なので人それぞれでいいんでしょうが、例えばFIREを選ぶような、社会で承認を得るのが明らかに向いていない(自分のような)タイプがこの価値観を選んでしまったらそれこそ不幸もいいところだと思いますね(笑)
やっぱ一つの事を絶対視するというのは危険なんだろうな。バランスというのが重要というなんの面白みもない結論にしかならないんだけどな。それだとだれも見向きもしてもらえないから金にならないだろうしなあ
難しいなあ
尖っていて客観的には面白みがあるけれど、実は中身は至って普通な戦略家
もしそんな(山崎さんのような?)器用な生き方ができれば安牌・・かも?
自分は若い頃は貧乏でしたがモテました。
現在は富裕層の末席を汚す程度ですが、中年で金持ちに見えない生活をしてますので全くモテません。
どちらが幸福度が高かったか考えてみましたが、ガッキーとポケモンどちらがかわいいかを問うようなもので人によって全く見解が異なる反証可能性のない話になってしまいますね。
888さんこんにちは!
>自分は若い頃は貧乏でしたがモテました。
イイなぁ~!
山崎さんの説では若い頃のモテが重要なようです。何でも「モテたい時にモテないと歪むから」と。
まぁヒトは動物ですし、動物が生きる本能的な目的は繁殖することなので、本能が満たせないとグレるというのはあながち間違っていないのかも知れません。
とはいえ、サンプルが山崎さんの周辺だけだとすると、若い頃はガリ勉で余りモテず、年齢を重ねてから初めてお金を持って遊び歩いている(=歪んでいる?)タイプが多そうですので、一般化できるかどうかはわからない気がします。
歳をとってもお金がなければ女遊びなんてしようがないですし、俺には向いてないと悟って諦めるヒトも結構多そう。
本能の目的はあくまで繁殖であり、必ずしも幸せな状態にすることではないので、願いが叶った際の幸福予測は大体過剰だし、幸福感は継続性がないものなので、明らかに分不相応なことの場合はむしろ諦められた(他に目を向けられた)人のほうが幸せということはままありそうな気がします。
また、環境ホルモンのせいかストレスのせいかはわかりませんが、男性の精子数はここ数十年でどんどん減ってきているそうですので、上の世代のほうが精力旺盛で、だからこそモテがより重要だった可能性があるのかも知れません。個人的な印象ですが、上の世代の方はやたら元気なヒトが多い気がしますので。
・・昼はポケモン、夜はガッキーと一緒が幸せそう!