金利上昇で儲かるETFは?ハイテク・グロースは金利上昇に弱いって本当?(米株)

ワクチン摂取の広がりのせいか、世界最大の被害国であった米国においてもコロナ問題はいよいよ終わりを迎えつつある様です(下図)。

 

ref) https://t.co/aVUFIG2K8I

 

そうなると追加経済対策期待に依存した株価上昇はもう望めなくなると共に、経済次第・FRBの舵取り次第の相場がやってくるものと考えられます。前例がないほどの金融緩和状態下で経済に大打撃を与えたコロナが消える。FRBが大ポカをしない前提でのメインシナリオとしては長期金利の上昇、インフレ、好景気が想定されます。

もし今後数年を見据えてその様な状況が来るとした場合、どの様なETFに投資すればいいのでしょうか?

 

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 金利と株価(ETF)の推移 

長期金利と政策金利に対し、S&P500のバリュー株(VTV)やグロース株(VUG)、景気に左右されやすい消費財セクター(VCR)、金利の影響をモロに被りそうな金融セクター(VFH)、及び利回り上昇に弱いという声が聞かれるナスダックハイテク(QQQ)がどの様な値動きをしているのかを見てみました。

 

 

2005年以降の長短利回りと各セクターETFの値動き

 

下の4つのヒストグラムは10年債利回りとの相関係数です。ハイテク(QQQ)はグロース(VUG)とほとんど同じ傾向なのでヒストグラムから除きました。

長期で見るとハイテク(QQQ)の伸びが凄まじく、消費財(VCR)やグロース(VUG)も既にコロナ前の水準を大きく上抜けていることがわかります。一方でバリュー(VTV)や金融(VFH)の回復はまだ弱いです。

また、どのセクターも長期的には10年債利回りと順相関傾向であることが見て取れます(下の4つのヒストグラム)。通常は高金利=好景気なので、景気が良ければ株価が上昇するというある意味当然の値動きだと言えそうです。

一方で、政策金利(1ヶ月国債利回りで代替)とは相関が見られませんでした(下図)。これは政策金利は必ずしも景気と連動しているわけではないと捉えることが出来ます。まあ要するに注目すべきは長期金利だと言うことです。

 

 

2005年以降の政策金利と各セクターETFの値動き

 

長期的な傾向は見えたので、今度はもう少し短期で見てみます。コロナ以降ではどうだったのでしょうか?

 

 

2020年5月以降の長期金利と各セクターETFの値動き

 

この短期で見るとハイテク(QQQ)やグロース(VUG)よりも消費財(VCR)の伸びが顕著なことがわかります。一方でバリュー(VTV)はさっぱり冴えません。金融(VFH)もイマイチ。

10年債利回りとの相関係数を見ると、グロース(VUG、QQQとほぼ一緒)の順相関は、他のETFと比べてやや弱い傾向があることがわかります(下の4つのヒストグラム)。即ち、長期金利の上昇はハイテク(QQQ)やグロース(VUG)には相対的に不利であることがわかります。

さらに短期間ではどうでしょうか?

 

 

2020年9月以降の長期金利と各セクターETFの値動き

 

より短期で見ると金融(VFH)がトップに躍り出ております。何と最下位がハイテク、グロース(QQQ、VUG)!年始からの10年債利回りの急上昇に加え、バイデン政権誕生やトリプルブルー化などもあったことから判断に困るところですが、少なくとも10年債利回りとの相関係数を見る限りはグロース(VUG、QQQとほぼ一緒)の順相関は、他のETFと比べてかなり弱い傾向であることがわかります。一方で金融(VFH)が最も強い順相関を示しております(下の4つのヒストグラム)。

では、この10年債利回りは今後どの程度上昇することが見込まれるのでしょうか?

 

 

2018年以降の長短利回りの推移

 

10年債で見ると、コロナで実質ゼロ金利政策になる前の最低水準が1.5%程度でした。当分は政策金利が現状維持されるであろうことから考えると、今後長短金利差は更に開いていくことが想定されますが(スティープ化)、そうは言っても政策金利を下げる前の1.5%ラインというのは強く意識される水準だろうと考えられます。

ただ昨年8月以来長期金利は上昇傾向を維持しておりますので、あと2年もこの水準を守ることは到底叶わない様に思えます。FRBどうするんだろ・・。

 

 まとめ 

・長期的にはハイテク(QQQ)やグロース(VUG)の上昇が圧倒的

・どのETFも長期金利と順相関関係にあるものの、その傾向は金融(VFH)が最も強い

・ハイテク(QQQ)やグロース(VUG)においても金利上昇は弱いながらもプラス傾向である

・今後の更なる金利上昇(好景気?)に賭けるなら順相関の高い金融(VFH)、消費財(VCR)、バリュー(VTV)が良さそう

・但し、消費財(VCR)はコロナ前と比べ既にかなり高くなっている

・短期~中期(~数年)ならハイテク(QQQ)のヘッジとして金融(VFH)を一部保有するのもいいかも

・長期(数年~)ならハイテク(QQQ)やグロース(VUG)で問題なさそう

 

米株のセクター別ETFのパフォーマンス比較。情報技術セクター(VGT)とナスダック100(QQQ)はどちらがいいのか?

 

 

=21.2.9追記=

コモディティをすっかり忘れてました!

 

2020年以降の長期金利と各セクターETFの値動き

 

前にシルバーや鉄鉱石が急騰しているというニュースを見た気がするのですが、意外なことにETFの値動きは全く冴えません。順相関も金融(VFH)の方が高い様です。組入れを見ていないので何とも言えませんが、国内で入手可能なETFだと選択肢が乏しすぎて同仕様もないのが悩ましいところです。

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