少子化の原因。その対策としての移民

日本は人口減少に至るほどまで少子化が進み、将来が見通せない状況になっています。政府も細かい対策はしているのでしょうが、未だに待機児童問題すら解決せず、仕事との両立も難しい労働環境のままで解決の糸口すら見えていない状況です。

 では、そもそも少子化の原因は何なのでしょうか?

 そして、どの様な解決策があるのでしょうか?

経済学者でオンライン講師としても有名なマウロ・ギレンさんの「2030 世界の大変化を「水平思考」で展望する(2021)」にその答えが書いてありました。

 

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 少子化の要因① 産業構造の変化 

今日、先進国で1人の子供が生まれるたびに、新興市場国と発展途上国で9人以上の子供が生まれています。もっと具体的に言えば、アメリカで子供が1人生まれるたびに、中国で4.4人、インドで6.5人、アフリカでは10.2人の子供が生まれています。

一次産業が中心の途上国では、子供は農業や家業を手伝う労働力として一家の資産に成り得るのに対し、二次産業や三次産業が中心の先進国では資産ではなく、むしろ教育費がかかる負債に成り得ることが要因です。

 

 少子化の要因② 女性の社会進出 

今日の女性は、家庭の外の好機をより多く享受しています。そしてその好機をつかむために、学校やめたりせず、多くの場合、より高い教育を受けようとします。それが出産時期の先延ばしにつながります。経済のみならず、広く社会において女性の役割が変化したことが、世界的な出生率低下の背景にある最も重要な要因だと言えます。

 

 少子化の要因③ セックスに対する興味の低下 

技術と性欲の関係は驚くほど単純です。娯楽の種類が増えれば増えるほど、セックスの回数は減ることが分かっています。現代社会はラジオやテレビからテレビゲーム、ソーシャルメディアまで様々な娯楽の選択肢を提供します。学術誌に掲載された包括的調査によれば、「アメリカの成人が一年間にセックスした回数は、1990年代後半よりも2010年代初めの方が9回少なかった」といい、既婚者と決まったパートナーのいるカップルの間でその傾向が目立ちました。

娯楽の減少が性欲に与える効果を実証した、停電が絡む面白い例があります。2008年、アフリカ東部のインド洋上に浮かぶザンジバル島で、丸一ヶ月間深刻な停電が発生しました。電力系統に接続していた地域の家庭は被害を受けましたが、残りの家は普段通りディーゼル発電機を使いました。9ヶ月後、停電で娯楽が減った地域には通常と比べて20%も多くの子供が生まれましたが、ディーゼル発電機を使った地域にはそのような変化は見られませんでした。

 

 少子化の要因④ 教育費の高騰 

2018年、ニューヨークタイムズ紙が委託した調査で、アメリカ人があまり、あるいは全く子供を持たない理由を探ったところ、上位5つのうちの4つがお金と関係がありました。

今日、たくさんの親が、より多くの時間と資源をより少ない数の子供に投入し、我が子の成功を願って、望みうる最高のチャンスを与えようとします。メリーランド大学の社会学者フィリップ・コーエンはこれを「私たちが一人一人の子供に対する投資を増やすのは、不平等が拡大する環境で競争できる最善の好機を与えたいからだ」と説明しています。

2015年の連邦政府の見積もりによれば、アメリカの平均的な家庭が、1人の子供を17歳まで育てるために費やす総額は、23万3610ドルにも登っています。大学の授業料を含めれば優に倍になります。

 

 解決策:移民の受け入れ 

以上のような要因による出生率の低下は先進国に共通しております(下図)。この中で日本は2番目に出生率が低いですが、仮に出生率を上げるような政策を取ったところで、先進国でどこも達成できていない人口維持に必要な2.07を上回ることは望めそうにもありません。

 

諸外国の出生率推移

 

 

それにも関わらず、2100年まで米国では人口が上昇し、欧州でも人口が微増、人口が急激に減少するのはこの中では日本だけです。

 

 

先進国の人口推移予測(1950年~2100年)

 

 

この人口動向の原因は移民政策に対する姿勢の違いです。

アメリカでは介護労働の実に90%が移民によって賄われています。移民とその国の住民とでは就労する職業に違いがあるため、全般的な賃金や雇用に与える影響は小さいかゼロに近く、移民が消費を生むことで経済においてはプラスに作用することが様々な研究からも判明しています。

イギリスに関しては、移民を排除するブレグジット直後から労働力が不足し、トラックの運転手が確保できずにガソリンすら手に入らない状態になっているとのことなので、今後は日本と同じく人口減少の道を歩むことになるのかも知れません。

 

 Tochiの勝手な感想 

少子化の主な原因が先進国になって、女性が社会進出し、性よりも楽しいことを沢山見つけたからだとすれば、少子化って少なくとも国民からしたら素晴らしいことなんじゃないでしょうか?

それでも日本が圧倒的にマズイ状況になりそうなのは、出生率の低さよりもむしろ他の先進国と異なり、移民をあまり受け入れていないことが原因だと考えられます。だからといって、変化を極端に嫌う日本において移民政策が大々的に行われるとは考えにくいですが(もしやる気ならとっくにやってないとおかしいし・・)、もし移民政策を行った場合、経済にはプラスでも、日本の良さである治安がかなり犠牲になってしまうかも知れません。

 

ただそれよりも気になるのは、日本行政の外国人に対する異常な甘さです。今の様な国籍に関わらずお金がないだけで年金よりも高い生活保護を受けられたり、海外に何十人も扶養家族がいること(扶養控除、つまり脱税)を認めてしまうような脇の甘い制度を改めない限り、それこそ税金を食い物にされてしまいそうで恐怖を感じます。

 

その一方で、田舎のやたら排他的な空気感や、職場の働きにくさ、高い同調圧力、過剰なサービスやマナーなどは単一民族であったからこそ維持されてきた部分が多いと考えられるので、移民が入って多様性を増すことによってかなり改善されるかも知れません。また、子育てに安価なナニーやシッターを使える選択肢ができれば、共働き世帯には大きな恩恵がありそうです。さらに、3K+低賃金で人が集まらない介護制度を将来も維持するのであれば、移民に頼る以外の方法は無いことでしょう。

 

って、これじゃあまるで途上国から奴隷を買っているような感じですね・・。まあ、母国で食べられない人を奴隷 労働力不足の解消のために雇ってあげるんだったらWin-Winなのかなぁ(強い偽善のカホリ…)。

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