国内証券会社で売買可能な米株ETFですら300種類以上もあるのですが、米国で販売されているETFはそれよりも遥かに多いとか、手数料が遥かに安いとかいう話をちらほら耳にします。送金だの確定申告だのを考えるとややハードルが高すぎる気もしますが、案ずるよりなんちゃら?と言うことで、まずは簡単に比較だけしてみました(21.1.10現在)!
米国オンライン証券会社のETF取り扱い数
色々有るのでしょうが、ここではたまたま見つけた2つに絞ります。
米株ETF取り扱い銘柄数
・Intractive Brokers(IB) 2,000以上 (英国証券会社、米国IB LLCの完全子会社)
・Firstrade 2,000以上 (本社ニューヨーク、運営は中国人)
・国内証券会社 約300程度 (84~356、DMM~マネックス)
まあ、予想通り圧倒的に取扱銘柄数が異なります。国内でもS&P500やダウ、ナスダック100などのメジャー指標だけなら殆ど問題ありませんが、資産規模がある程度大きくても国別やコモディティなど少し特殊なETFになると売買できない物が意外に多いです。
投資機会の喪失という点では楽観できませんが、どの様なETFを売買したいかによってこの重要度は変わってきます。
ref)https://www.interactivebrokers.co.jp/jp/home.php, https://www.firstrade.com/content/en-us/welcome, https://minkabu.jp/hikaku/usa.html
米国オンライン証券会社の手数料
実際に使ったことが有るのは国内証券のみなので詳細はわかりませんが、分かる範囲で比較してみました。
IBが口座維持に手数料がかかる場合があるようです(10万ドル以上口座にない場合は10$/月 → その後、維持手数料は廃止になりました!)。結構高いですね・・。一方で取引手数料は何とわずか1$!国内は22$とバカ高いのでこれは凄いです(*厳密には1株あたり0.005$で、最低1$、最大1%)。
Firstradeに至っては何と0$!中国人が運営し、英語以外では中国語にのみ対応している点をどう考えたらいいのかが難しいところではありますが、少なくともパット見の手数料だけ見たら相当凄いです。
いやでもだったらどこで儲けているるのでしょうか?一応Firstradeの説明としては、
1) 第三者から12b-1手数料の支払いを受けている
2) 信用残高、証拠金残高の生産会社からの利息収入を受けている
3) 第三者から注文の流れに対する支払いを受けている
とありますが、素人には何のことかわかりませんし、同じく手数料無料のロビンフッドが2020年の12月、米証券取引委員会(SEC)に顧客の注文を超高速取引業者(HFT)に回送している事実の開示を怠ったとして訴えられ、課徴金の支払いに同意しました。
これはつまり顧客の注文を第三者に売ることで儲けており、顧客は高くかわされ、安く売らされる隠れ手数料を支払っているだけであることを意味しています。
Firstradeの場合は(3)がそれに相当しそうですね。まあ、見えないだけで手数料は支払っている(きっとたっぷり?)と考えるのが妥当でしょうか。でもなら他の証券会社は本当にそれをやっていないのか、それをどうやって証明できるのか、いや国内FXの方がよっぽど酷いのでは、いや海外FXだって、、(TдT) ウギャ~
ref) https://blog.esplo.net/entry/2018/12/ib-summary/, https://hass104.blog/cancel-unnecessary-sec-accounts/, https://www.nomadkazoku.com/interactivebrokers-account-opening/, https://www.nomadkazoku.com/us-etf-fee-free/, https://www.interactivebrokers.co.jp/jp/index.php?f=2763&p=stocks1
1年で支払った売買手数料はおいくら?
話を戻し、国内証券は売買手数料が異常に高いことは分かりましたが、一方で送金や為替手数料(色々な方法がありそうなので今回は調べていません)、場合によっては口座維持手数料などがかかることを踏まえると手数料の点では必ずしも米国証券会社が有利とは言えなそうな気もします。
では、昨年一年でTochiは売買手数料を一体いくら国内証券に支払ったのでしょうか?なお米株取引2年目の素人で、運用資金は平均で数百万円程度です。調べてみると、
米株の売買回数は合計67回。
手数料合計は956$でした。何と約10万円(チーン!)
VOOなど買付手数料無料の取引もあるので22$支払ったのは40回のみ、月にわずか3回程度です。利益が1.7万$程度だったので、何と利益の5%以上もの手数料を支払っていた様です!(下手なだけ定期)
仮にIBを使っていたとすると最大でも67$。全く同じ取引にも関わらず、差は900$近くに及びます。10年使ったら100万円!!?
これならば送金や為替手数料が国内よりも多少割高になったとしても(せいぜい数千円程度だと思いますので)長い目で見た場合は海外を使うしか選択肢が無いようにも思えますが、拭いきれない懸念もあります。
米国オンライン証券会社の懸念
送金やドル転などの手数料と手間、持ってるドル
まあこれは単なる知識と慣れなので何とか乗り越えたい!?既に国内で持ってるドルをそのまま送金できるのかも気になります。
確定申告、税制
特定口座なんて無いでしょうから、売買の度に円建ての為替差損益を自分で計算して申告する必要があります。申告金額を自分で計算するのはまあ当たり前のことなのかも知れませんが、今まで特定口座で楽をしてきた分、辛そう。まあエクセルを作って毎回記録するだけといえばその通りですが・・。ただ、その際TTS、TTBでいいのかは非常に重要な問題に思えます(ちょっと調べた感じだと、何か・・ダメそう・・(TдT))
また米国証券会社の場合は3年間の損失繰越ができない。これは・・かなり不利ですねぇ。
為替差損益は、海外FX同様、総合課税の雑所得になる様です。
破綻やトラブル問題
嘘か真かはわかりませんが、海外FXの場合はちらほら出金拒否なんていう話も聞きます。勿論国内法は適用されませんので万一この手のトラブルが起きた場合の対処が極めて難しいものになると考えられます。流石に証券会社の場合はもっとまともでしょうが、もしヤバい会社だった場合は最悪全財産を失うリスクだってあります。
まあIBに関してはSBI証券が米国株の取次を依頼(バカ高い手数料だけ徴収して丸投げ!)している証券会社だとのことなので安心できそうに思えます(下記)。
IB証券がSBI証券の米株取引を取り次いでいる(SBI証券HPより)
ref) http://kenkyuu.air-nifty.com/blog/2018/09/firstradeib-31e.html, https://nikomarublog.com/%E3%80%90ib%E8%A8%BC%E5%88%B8%E3%80%91%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%BA%E8%A8%BC%E5%88%B8%E3%81%B8, https://www.zeiri4.com/c_5/q_38198/, https://carlos-travelweb.com/essay-j/jptax.html, https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/attention/trading/stock_gai_22.html
まとめ
手間は多いけどIBなどの方が売買手数料は破格に安い。しかし損失繰越ができないなどの税制面がヤバい不利!
これだと国内にない銘柄の売買や、頻繁に売買する場合にだけやっとIBが選択肢に入って来る、といった程度でしょうか (TдT) オカシイ・・手数料・・ボッタクリ
=21.1.12追記=
税務署(確定申告電話相談センター)にアメリカの証券会社で米株を売買したときの円換算譲渡損益の計算について問い合わせした所、TTS、TTBで計算して問題ないとの回答でした。
法的根拠は「租税特別措置法37の10・37の11共-6」とのこと(下図)
ref) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/020624/sanrin/1273/37_10-11/01.htm
まあ恐らく余りにマニアックな内容なので、どの税務署の誰に聞くかによっても回答が異なる様な微妙な案件である様な気がします。実際に確定申告される場合は必ずご自身で管轄の税務署にお問い合わせ下さい。
ただ、もし仮にTTS、TTBで問題ないとすると、税制面での不利面がかなり緩和され、頻繁に売買する場合などは特に手数料が安い利点のほうが有利になりそうです。これは俄然燃えてきました (・∀・)/
=21.1.13追記=
再度別の方に伺った際もTTS、TTBで計算して問題ないとの回答でしたが、IB証券に確認した所、IBLLC(海外上場金融商品取引用)口座は金融商品取引業者登録なしとの回答でしたので、金融商品取引業者が要件に含まれる「租税特別措置法37の10・37の11共-6」の対象外、即ちTTS、TTBで計算してはダメだとも解釈できます(下図の青色の四角)。
もう素人にはどうすればいいのかわかりませんwww
その他、海外証券会社における米株売買の税制に関して質問した所、
・ドルの為替差損益を計算する際の為替レートと税区分は?
答え:TTMで雑所得の総合課税
・国内証券会社との損益通算は可能?
答え:NG。上場株で金融商品取引業者として国内に登録があればokだが、登録がないならng。なお、海外証券会社の譲渡損は国内の譲渡益と通算でないが逆は可能
・3年の繰越損失は可能?
答え:NG。上場株で金融商品取引業者として国内に登録があればokだが、登録がないならng
・配当の税区分は申告分離も可能?(総合課税のみ?)
答え:可能、但し総合課税にした場合でも配当控除は不可。損益通算は一方通行で、海外の譲渡損は国内の配当と通算でないが逆は可能
まとめると、IB証券で米株を売買した場合、譲渡損益の計算はTTB、TTSでいいのか良くわからない(汗)。国内との損益通算はダメそう(国内損→海外益のみ可能?)。損失繰越はやっぱりダメな模様です。まあIB証券の日本法人は金融商品取引業者(関東財務局長(金商) 第187号)ですし、色々と見解が分かれそうな部分なので取り敢えず最も有利な様に申告し、万一ダメと言われたら修正するのが一番いいのでしょうが、何だか余りに面倒臭さすぎて既に萎え萎えっす (;_;) 当座は見送りかな~
=21.1.25追記=
他の件で伺った税務署の方がわざわざ調べて回答して下さいました。感謝!
ドルの為替差損益計算レート
基本はTTMだが継続適用を要件としてTTS、TTBでOK、雑所得総合課税(国内証券と一緒)
ref) 租税特別措置法37の10・37の11共-6
株の譲渡損益計算レート
TTS、TTBでOK(国内証券と一緒)
以下の5要件を満たすのであれば適格外国金融商品市場。適格外国金融商品市場は有価証券関連業として金融商品取引業に包含されるので租税特別措置法37の10・37の11共-6の適用が可能
1 取引証券の取引価格が入手可能であること。
2 取引証券の発行者に関する財務諸表等の投資情報が入手可能であること。
3 その市場を監督する監督官庁又はそれに準ずる機関が存在していること。
4 取引証券の購入代金、売却代金、果実等について送受金が可能であること。
5 取引証券の保管業務を行う機関があること。
ref) 措置法37の11-1、金融商品取引法第28条第8項
国内証券との損益通算・3年間の損失繰越
第一種金融商品取引業であることが要件なので適用外。但し国内損失を海外利益と通算はOK(逆がダメなだけ)
ref) 措置法37の12-2、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
37の12-2の一部、赤の下線部
https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHSOZ000000/37-12-2.html
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332AC0000000026_20210101_502AC0000000008&keyword=%E7%A7%9F%E7%A8%8E%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%8E%AA%E7%BD%AE%E6%B3%95
まあ、最後に伺った通りなら税制や手間的には不利なものの、特に売買が多い場合などは手数料の破格さのメリットの方が上回るケースが多いように思えます。例えば長期保有予定のETFなどは国内で、短期売買する個別株は海外でという使い分けをするのも良さそうです。
もうすっかり諦めかけて国内でループイフダン(短期売買=手数料払いまくり)を考えていただけに非常に悩ましいところです (・∀・) まあ追々やろうかな~
*Tochiはド素人です。内容に責任は一切持ちません!自己判断・自己責任でお願いいたします。
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