アパートに何十年も住むと損なのでいっそ家を買おうかと突然思いついたTochiですが、全く欲しい家が見つかりません。
ちょっといい感じだとバカ高いし、少し安いとボロボロ・・。まあ、何千万円もする買い物なので安易に決めず、時間をかけてじっくりと検討するつもりです。
そもそも、これから急激に人口減少する日本において本当に家を買う事に賃貸と比べた金銭的なメリットがあるのでしょうか?あるとすれば、それはどんな場所なのでしょうか?
人口減少の行方
人口の推移はかなり正確に未来を予想することが可能です。日本全体で見れば今後も減少傾向に向かうのはほぼ間違いないですが、地域差がかなり大きい様です。では、Tochiが住んでいる神奈川県の場合はどうでしょうか?
神奈川県の2045年人口の推計、2015年比
https://ecitizen.jp/Population/Ranking
自然が豊かで物件も比較的安い三浦市(赤)は候補地の一つだったのですが、後20年程度で50%も人口が減少することが見込まれています。こうなるとインフラはズタズタ、財政も相当厳しくなることが見込まれますし、そもそも空き家だらけになって物件の価値が殆ど無くなる事は勿論、売ることすら出来なくなってしまう可能性すらありそうです。だとすると、こういった場所に今から物件を購入するのは流石に難しいと言わざるをえません。
その他も10~20%もの人口減少が見込まれる地域が多いようです。さらに厄介なのは人口減少だけではなく、少子高齢化が同時に進むことです。自宅を購入する年齢層の人口はこれ以上の減少が見込まれます(下図)。
住宅購入の平均年齢は30後半から40代
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348002.pdf
地価の推移、人口との関係性
では、より広い地域に目を向けた場合はどうでしょうか?
3大都市圏ないしは地方中枢都市はこの10年で横ばいですが、その他の地域は大幅な地価の下落傾向が見られます。田舎に住む事には憧れますが、現状でこれでは将来的には高確率で負動産化するものと考えられます。
では、人口の変化と地価の変化にはどの様な相関があるのでしょうか?
ばらつきが大きいですが、平均すればおよそ20%の人口減少で30%弱の地価下落が生じております。ただし20%の人口増加でも20%程度の地価上昇であり、人口だけでは説明できない地価の下落圧力がある点がポイントです(=切片がマイナス)。土地神話が徐々に無くなってきているせいなのか、少子高齢化を反映したものなのか、単に現役世代が貧しくなっているせいなのかが気になります。まあ、どちらにせよ将来的にはこの傾向が更に加速するものと考えられます。
また、価格の推移は駅からの距離が重要なポイントのようです。
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/mhri/research/pdf/report/report18-0726.pdf
概ね駅から1.5-2kmを堺に上昇傾向と下落傾向が2分されております。この先20年もすれば自動運転が普及し、駅までの移動は専ら月払い方式の無人EVタクシーになる時代が来る様に思えます。更に進めば人口減少により電車すら使わず、無人EVタクシーで通勤・通学するのが当たり前になる可能性すらあります(1kmの移動コストは山手線 13.25円、ガソリン車 6.7円、EV 3円と現在でも鉄道が割高)。
もしそうなれば駅からの距離に関しては余り問題にならなくなる時代が来るのかも知れませんが、少なくともそこに至るまでの期間は駅から遠い物件は益々地価が下落していくものと考えられます。
https://toyokeizai.net/articles/-/191645?
自治体の財政問題
土地の価格も重要ですが、自治体により水道代や国民健康保険などが大きく違うことも見逃せません。最も厄介なのが夕張のように破綻してしまうリスクです。
https://news.biglobe.ne.jp/economy/1028/dol_191028_4110086725.html, https://www.sumai1.com/useful/townranking/townlist/, https://tochidai.info/
将来的な人口減少が著しい三浦市は現状ですら全国的に見ても破綻リスクが高い自治体の様です。まあ、20-30年もすれば社会保障費の圧迫で日本政府も破綻リスクが非常に高くなるので余り深刻に考えても同仕様もありませんが、少なくとも現状で破綻リスクの高い自治体は避けるのが無難に思えます。
お得な物件は?
例えば2000万円の土地を購入し、2000万円で家を立てて20-30年ほど住んだ場合、木造家屋は22年で減価償却され、25年もすれば価値がなくなります。月に6.7万円の減価相当です。
一方で20%の人口減少が生じれば現状では30%、将来的には40%程度の地価の下落が想定されます。そうなると2000万円で購入した土地は1200万円、合計4000万円で購入した不動産は25年で1200万円まで価値が目減りすると考えられます。土地だけで月に2.7万円の減価相当、合計で月に9.3万円もの減価相当です。
こうなると引っ越せないデメリットや多額のローンを背負うというリスクを取ってまで住宅を購入するメリットはかなり乏しい様にも思えます。
この減価を最小限に抑えるためには、中古住宅を購入し、都市圏でなるべく駅近の物件に狙いを絞る必要があると言えそうです。
また2022年以降は主に首都圏で10%程度の生産緑地が売りに出される見込みですし、オリンピック後の不況、コロナ自粛不況、増税によるリセッションの継続と下落要因が多い一方で、在宅ワークの普及による郊外移住、新築の場合はウッドショックという(恐らく一時的な)上昇要因があります。
2021年現在では移住による需要増加が上回っている様に感じますが、更に数年後からは団塊世代(2022年での平均年齢は73〜76歳)の住宅が大量に売りに出されるものと考えられます。
この様な不況や供給の増加を見込むのであれば、数年待って団塊世代が売りに出した駅近の物件を狙うのが手なのかも知れません。
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